『ビデオゲームの美学』の細かい目次

Oct 07, 2018|ゲーム研究

ビデオゲームの美学

おかげさまで拙著『ビデオゲームの美学』(慶應義塾大学出版会)が10月20日に刊行されます。

目次が長すぎるおかげで、目次の詳細情報がウェブに出ていないので、公式ページにも出ました)目次をこちらに載せておきます。本の内容紹介はおいおいします。

(追記)内容紹介を書きました:『ビデオゲームの美学』はこんな本 - 9bit

目次

序章

  • 1 ならではの特徴
  • 2 問いをはっきりさせる
  • 3 方法をはっきりさせる
  • 4 意義をはっきりさせる

第Ⅰ部 芸術としてのビデオゲーム

第一章 ビデオゲームとは何か

  • 1 定義とは何か
  • 2 ビデオゲームとビデオゲーム作品
  • 3 ゲームとして定義する
  • 4 選言的に定義する
  • 5 選言的定義を改訂する
  • 6 ビデオゲームの媒体
  • 7 「ビデオゲーム」の類義語

第二章 ビデオゲームの意味作用

  • 1 意味作用と行為
  • 2 受容とは何か
  • 3 作品と適切なカテゴリー
  • 4 ビデオゲームと芸術の存在論
  • 5 ビデオゲームの受容過程

第三章 芸術としてのビデオゲーム

  • 1 芸術概念の成り立ち
  • 2 ビデオゲームは芸術か
  • 3 アートワールド
  • 4 娯楽と芸術
  • 5 ハイブリッドとしてのビデオゲーム

第Ⅱ部 一つの画面と二つの意味

第四章 ビデオゲームの統語論

  • 1 表象、記号、内容
  • 2 記号システム
  • 3 統語論と意味論
  • 4 ビデオゲームの記号
  • 5 記号の素材
  • 6 インタラクティブ性とは何か
  • 7 「インタラクティブ性」への懐疑
  • 8 インタラクティブな芸術の定義
  • 9 相互作用の対象

第五章 ビデオゲームの意味論

  • 1 二種類の意味論
  • 2 ビデオゲームの二面性
  • 3 量化のドメイン
  • 4 区別の正当化
  • 5 内容の名前
  • 6 重ね合わせ

第六章 虚構世界

  • 1 「フィクション」と「物語」
  • 2 フィクションの語り方
  • 3 虚構世界を表すこと
  • 4 虚構世界を作ること
  • 5 意図主義と慣習主義
  • 6 虚構世界の構成要素
  • 7 ビデオゲームフィクションの記号システム
  • 8 インタラクティブなフィクション
  • 9 行為の結果と行為の動機
  • 10 ミミクリ
  • 11 フィクションをこえて

第七章 ゲームメカニクス

  • 1 ルール
  • 2 ゲームメカニクスの隠蔽と現実化
  • 3 行為のデザイン
  • 4 ゲーム行為を定義する
  • 5 自己目的的行為
  • 6 美的行為
  • 7 ゲームメカニクスの構成要素
  • 8 ビデオゲームメカニクスの特殊性
  • 9 現実か虚構か:ゲームメカニクスの存在論
  • 10 制度としてのゲームメカニクス
  • 11 ビデオゲームの制度

第Ⅲ部 二つの意味のあいだで遊ぶ

第八章 二種類の意味論の相互作用

  • 1 類比的推論
  • 2 謎解き
  • 3 シミュレーション

第九章 ビデオゲームの空間

  • 1 空間表象の分類論
  • 2 統語論的空間
  • 3 意味論的空間
  • 4 遠近法
  • 5 遠近法とゲームメカニクス
  • 6 統語論とゲームメカニクス

第十章 ビデオゲームの時間

  • 1 時間は重なり合う
  • 2 時間の三層モデル
  • 3 層の対応
  • 4 セーブ、スピード、ターンベース

第十一章 プレイヤーの虚構的行為

  • 1 虚構的行為文のパズル
  • 2 経験説
  • 3 バーチャル説
  • 4 フィクション説
  • 5 インタラクティブなフィクション説
  • 6 現実説
  • 7 指示移行説
  • 8 ゲーム行為としての虚構的行為
  • 9 プレイヤーは人を殺しているのか

第十二章 行為のシミュレーション

  • 1 シミュレーションとは何か
  • 2 モデル化
  • 3 虚構的なシミュレーションは可能か
  • 4 ビデオゲームシミュレーションの特徴
  • 5 行為のシミュレーションとしてのビデオゲーム
  • 6 行為のシミュレーションとインタラクティブなフィクション
  • 7 シミュレーションのリアリズム
  • 8 グラフィックとシミュレーション

終章 そして遊びの哲学へ

  • 1 行為の芸術
  • 2 遊びの哲学

章ごとの元ネタ

本の全体は博士論文「ビデオゲームにおける意味作用」(東京藝術大学、2015年)がもとになっていますが、章ごとに見ると、博論以前・以後に発表した論文や口頭発表などがベースになっていたりします。参考として各章の元ネタ(博論以外にあれば)を示しておきます。

元ネタそのものはけっこう前に発表したものが多いですが、博論から本にするときにほとんどの箇所は全面的に改稿しているので、昔に書いたものがそのまま残っているところはあまりないです。

序章

未発表。

第一章 ビデオゲームとは何か

未発表。

第二章 ビデオゲームの意味作用

未発表。一部のアイデアは「ゲームの何を保存する? ゲームのアーカイブと芸術の哲学」(あいちトリエンナーレ2016レクチャー、2016年)から。

第三章 芸術としてのビデオゲーム

一部「ビデオゲームは芸術か?」(『カリスタ』19号、2012年)から。

第四章 ビデオゲームの統語論

未発表。

第五章 ビデオゲームの意味論

未発表。一部のアイデアは「ビデオゲームにおける二種類の意味」(第31回日本記号学会大会、2011年)から。

第六章 虚構世界

未発表。一部のアイデアは「インタラクティブなフィクションとしてのビデオゲーム」(第63回美学会全国大会、2012年)から。

第七章 ゲームメカニクス

未発表。一部のアイデアは「行為のデザインとしてのゲーム:ゲームと遊びを再定義する」(京都ゲームカンファレンス、2014年)、「ルール?」(RGN-u#03、2010年)から。

第八章 二種類の意味論の相互作用

未発表。一部のアイデアは「ビデオゲームにおける二種類の意味」(第31回日本記号学会大会、2011年)から。

第九章 ビデオゲームの空間

一部「ビデオゲームのゲームシステム空間」(第62回美学会全国大会、2011年)から。

第十章 ビデオゲームの時間

ビデオゲームにおける時間」(日本デジタルゲーム学会2011年次大会、2012年)がベース。大幅に改稿。

第十一章 プレイヤーの虚構的行為

ビデオゲームにおけるプレイヤーの虚構的行為」(『美学』243号、2013年)、"Did You Really Get a Mushroom? Players' Fictional Actions in Videogame Playing"(Aesthetics 20, 2016)がベース。一部加筆。

第十二章 行為のシミュレーション

行為のシミュレーションとしてのビデオゲーム」(日本記号学会編『音楽が終わる時:産業/テクノロジー/言説』新曜社、2015年)がベース。大幅に改稿。

終章 そして遊びの哲学へ

未発表。


こうやって見ると、ウェブに発表資料を上げてばっかりで、ジャーナル論文をろくに書いてないなという印象ですが。今回の本で、これまで印刷物になっていなかったものもまとめて印刷物として出せるのでよかったです。

おわり。